コラム理想の家
前回、海外の住宅事情についてお話ししました。
家のメンテナンスとその履歴管理をしっかりすることで、
住宅が長持ちし、資産価値が高まるということをご説明しま
5回目となるコラムは、
日本住宅のこれまでとこれからについてお話しします。
高度経済成長期の日本は、一世帯一住宅を目指した時期がありました。
そのため、「住宅金融公庫」「公営住宅法」「住宅建設計画法」などが整備され、
〝質より量〟という考えのもと、次々と住宅が建設されていったのです。
そして1973年、その成果が実り一世帯一住宅の目標が達成されます。
今から40年以上も前に達成されていたのです。
目標が達成されれば、次なる方針を打ち出していくのが当然ですが、
その後も〝質より量〟の住宅政策が継続されたのです。
そうすることで起こった事態。もうお分かりですね?
第3回でお話しした、空き家の増加という結果に辿り着きました。
また、〝質より量〟を重視することで、
住宅を「建てる」ことが一番重要になってしまいました。
そこで生まれたのが「木造住宅の寿命は30年」という恐ろしい考え方です。
きちんと手入れさえしていれば、
30年経った木造住宅でも、後20年、30年は住むことができるのに、です。
これらの目標や考え方によって、家は作っては壊され、また作られます。
そのために多くの建築資源が使われ、多くの地球資源が失われ、
環境にも大きな影響を及ぼすこととなりました。
この状況を受け、国もようやく住宅政策の転換を決断します。
〝質より量〟から、〝量より質〟を求める住宅づくりへと舵を切ったのです。
そうした中で2006年に生まれたまったく新しい法律が、
「住生活基本法」です。
この中で国は、住宅を作っては壊すを繰り返す状態を改め、
住宅を長持ちさせるような仕組みを作る、と宣言したのです。
つまり、
「いいものを作って、きちんと手入れをして、長く大切に使う」
方向に日本は国として進みますよ、ということです。
ですから、これまでと同じような住宅に対する考え方をしていると、
時代の流れにそぐわなくなってしまうことになります。
これから家を建てたり買うなら、長持ちする家であることが不可欠です。
逆に、長持ちしない品質の悪い家を建てたり買ってしまうと、
貴方にとっていいことはありませんので注意が必要です。
つまり、これから家を建てようと考えているのであれば、
国が定めた様々な基準をクリアした「長期優良住宅」
を選択する必要があるということです。
お分かりいただけたでしょうか?
次回は、これからの住宅、そこに住む我々に求められるものについて、
さらに詳しくお話しします。